聖岳① 2015 9/19・20

シルバーウィーク5連休。・・・世間では。
後半二日間が仕事のため特に予定も入れられず
いつも休みの前になると 「今週末どこ行くのー?」 と連絡してくるヨーコタンも
この休みはお友達と旅行に行くと言ってたし。
登山部からも連絡はなし。
どこへ行っても混んでるだろうし。
めずらしく週末のカレンダーには何の予定の書き込みもない。
そのSWを明後日に控えた木曜日に来た連絡。
「土日は聖岳。詳細は明日連絡。」
えーーー!
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6月に大朝日岳に行ったメンバーで
ルリコさんの100名山94座目の山、聖岳を目指すことになった。
まあ、いつものメンバーだから
そんな土壇場の連絡でも特に不安もなく行けちゃうんだけど。

聖岳を一泊二日で目指すためには
信州側、飯田から入っていく便ケ島からの入山になる。
そこまでも遠かったけれど
北又渡の発電所を過ぎてからの林道はかなりなものだった。
多分、自分で運転してくるなら来ないかな、そんな感じで
易老渡を過ぎると崩れそうな斜面や
昨日までの雨で勢いよく水が出ていたり…
それでもこちらから入るのが最短のためか
易老渡も便ケ島もほぼ車で一杯になっていた。
さすが5連休。


9:15
準備を整えいよいよ出発。
多分今日は一日中登るだけ。。。
それだけ厳しい南アルプスの南部だけど
どんな道が待っているのだろう。



しばらく林道を歩けば
その辺の山なら間違いなく
山の神として祀られそうなほどの幹の太さの
桂の木があまりにもさり気なく立っていたり
斜面も崩れたままの所をトラバースしたり
まだほとんど夏の姿と変わらない濃い緑の中を
眩しい木漏れ日を受けて進んでいく。





ああこれか。


写真で見たことのある
荷物用のゴンドラが見えてきて西沢渡に到着。
橋は流されて渡れない状態なので
私もゴンドラに揺られます。



雰囲気がありすぎる昔の作業小屋を越えて尾根に取り付き
あとはひたすら、ひたすら登るだけ。





登っていくと結構やせ尾根で岩がち。
ロープやネットの張ってある足元が結構悪い道も次々と。




もくもくと。ひたすらに。








そのうちこの南アルプス、赤石山脈の赤石と思われる
本当に赤い岩なども姿を現して
それと同時に苔の世界と化していく山の中。




標高が上がるにつれ
岩という岩に
倒木という倒木に
生きている木さえ
人間の目より下くらいの高さまでは
ありとあらゆると思われるくらいの種類の苔が張り詰め
そこに流れてきた遥かな時間を考えるだけで
気が遠くなりそうな
そんな光景が広がっている。






それにしても
先の見えない登りが続く。
標高200メートルごとに表示は出てくるものの
身体の疲れもともかく
ひたすら登るだけというのは
精神的にタフでないと
なかなか厳しいと思い知らされながら足を進めていた。
GPSで位置確認をして
薊畑まではもうすぐという場所でさえ
これでもかと見上げるほどの登りが待ち構えていた。
前を行く人たちの頭がチラチラ見え隠れする
その場所を確認するのに顔を真上に向けないといけないくらいの登りだった。







そして。
聖岳との分岐薊畑。



今日初めて景色が開ける場所はガスに包まれていたけど
流れる雲の隙間から小聖がその姿を見せてくれた。


明日はあの向こう側へ。

「薊畑なのにアザミが咲いてないじゃないかーw」
というシゲシゲのいつもの軽いボケに
はいはい、と返事をしながら聖平へと下っていく。
それでもアザミは咲き残っていたり
竜胆の藍色が白いガスの中で鮮やかに足元を彩っていたり
花達もまだ季節の終わりに懸命に咲いていた。

そして何より嬉しかったのは
まだ松虫草がほんの少しだけ申し訳なさそうにだけど
咲いていたこと。
山の中でこの花を見たいと思っていて
でももう季節も季節だから
まさか逢えるとも思っていなかった。


聖平。


この辺の木々は伊勢湾台風でなぎ倒されたという。
白くガスに包まれて木道が続き
白い倒木が散らばる
違う世界への入り口のような景色だった。

( つづく )
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