両俣から北岳 ② 2013 8/17~19

しまこ

小屋の中にかけてある何冊ものノート。
この小屋を訪れた登山者が自由に書き込めるように置いてあるものだ。
夕食までの時間、パラパラとめくりながら読んでみると、古いノートには
41人の嵐の時に当事者だった方が
後日ここを訪ねてきて星さんへのお礼の言葉が綴られていたり
全部は読みきれなかったけれど
それはこの小屋の歴史そのもののようだった。

そしてそのうち自分も
一緒にかかっていた鉛筆で一番新しいノートに書き込んでいた。



夕食をいただいて
他にお客さんもいたので少しだけど星さんとお話をさせていただいたり、
ムスコはネコにちょっかいを出していたり。

そして小屋の消灯は8時。
手を顔の前にかざしても分からないくらいの闇の中
聞こえてくるのは野呂川の流れの音。

ああ両俣に来たんだな・・・

子守唄のように優しい音ではなかったけれど
いつしか眠りに落ちていた。






2013年8月18日(日)

両俣小屋の朝食時間は4時。


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今日は仙塩尾根から間ノ岳を越えて北岳山荘まで。
まったく未踏の道を歩くので出発は早いに越したことはない。
星さんにはお礼を言って
また来ます、と約束をして両俣小屋を後にした。



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山ノ神から上がる野呂川越への道はかなり荒れていた。
いつからあるのか分からないくらいの苔むした倒木もそのまま。


道なんてないじゃん。。。

後ろでつぶやくムスコに、赤テープや木に付けられたマークを探しながら登るんだよ、足元だけ見てたらダメだよ、
そんな事を教えながら自分も必死。



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それでも野呂川越まで上がれば朝陽も射し込む仙塩尾根の気持ちよい道へ。

しかし本当に人がいない。
野呂川越までは昨日小屋に泊まった方が一人だけ抜きつ抜かれつ来たが
その方は仙丈方面へ。
三峰岳方面へ向かうのは私たち二人だけ。

熊鈴をブンブン振り回しながら歩く道。
そのうちちょっとした岩場を過ぎて森林限界を越えると塩見岳が見えてきて
行く手には三峰岳が
振り向けば仙丈や甲斐駒がきれいに見えていた。


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やがて三峰岳の分岐に到着。
ほんの3分も登れば2999mの三峰岳の山頂だった。
剱岳と同じ標高を持ちながら
夏休みの日曜日だというのに誰もいない山頂。
農鳥岳の稜線の向こうに見える青い富士山や
塩見岳への魅力的な道を眺めて。

三峰岳の分岐でお会いしたのも二人だけ。
ソロのご婦人は今日は熊の平へ行くだけなの、とにこやかに話され
もう一人いたソロの男性は間ノ岳方面を目指して行った。


さあ、私たちも行こうか。

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がれた道はやはりルートを確認しながら歩く。
こちらもほとんど人とすれ違う事もなく間ノ岳の山頂へ。
まだこの時は標高も第4位と地味な存在のためか
お昼ご飯を食べたりゆっくり過ごしたけれど
静かな素敵な山頂だった。



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さあ今日のメインルート。
天空の、多分日本一高い稜線歩き。
北岳、仙丈、甲斐駒を眺めながら、
振り返れば歩いてきた仙塩尾根も。



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中白根の頭を超えるころにはムスコが前を歩きたいと言ってきた。



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( つづく )




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Posted byしまこ

Comments 2

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tahara_t2
こんばんは。

これだけの景色の中を誰も歩いていないなんて!!

でも良く踏まれている所を見ると人気が無い訳でも無さそう。

もしかしてこのコースが宿題なのかな。?

そうだとしたら良い答え。(*^^)v    「こんなに良い記事が書けたのだから」

しまこ
こんにちは^ ^

この時歩いたのは仙塩尾根といって
仙丈ヶ岳から伸びる長大な尾根(通称 馬鹿尾根 )なんです。
メインである北岳から外れていることと、
仙丈ヶ岳も北沢峠から往復する人がほとんどなので
仙丈ヶ岳から塩見岳へ行く人、あるいは
逆に南部から縦走してくる人が通る
メジャールートではあるけれど歩く人はあまりいない、という悲しい宿命を背負った道。

残された宿題はこの道ではなく
両俣の野呂川を挟んで反対側の
北岳へ直接突き上げる左俣ルートという道。
高校の合宿の時にその道から北岳に上がるはずだった道。
こちらは今では整備もされていないので
両俣小屋の星さんからも通っちゃダメと厳しく言われていて
地図上でも破線ルートとなってしまっていたりしてまだ歩けてません。


でも二年前は仙塩尾根を歩いて間ノ岳経由で北岳へ向かったおかげで
北岳から間ノ岳方面へくる人たちの朝の渋滞には巻き込まれず(笑)
のんびりと間ノ岳の山頂を満喫、
天空の稜線も前にも後ろにも人もいない贅沢を味わえたし
タハラさんにも褒めてもらえたから
それはそれでよかったかな(^_-)

昔の話なので写真もそれほど載せなかったけど
いい写真がたくさんあったので
こんなに褒めてもらえるなら
もっと写真も載せればよかったかな〜なんてね(笑)