奥又白池 2022 10/22・23
「ここへ行きたい」
と、本当に久方ぶりに
心揺さぶられた写真に出会った。
あゝ、いいなぁ、と思う写真はSNSにたくさん流れてくるけれど
いつにも増してそこに行ってこの目で見たいと
明確に強く思った一枚の写真。
それは奥又白池だった。
その存在は知っていたけれど一般ルートではなく
穂高の岩壁を登るような人たちだけが立ち寄れる
そんなイメージで自分1人では無理だろうと思っていた。

雪が降る前に行かれなければ
もう今年は無理だし、かといって来年以降行けるのか…
あれこれ思いあぐねても埒はあかない
いつ行くの??? ・・・・・ 今でしょ!!!
と何かに突き動かされて
お久しぶりの a氏に声をかけたら
快く同行していただけることとなった。


朝イチで上高地から徳沢へ。
テントを設営したら早速向かう奥又の登山口へと。


徳澤ロッヂの支配人古畑さんに
ルートの概要は詳しく聞いていたので
迷う事なく取り付きへ。





取り付きからすぐに
見上げるような傾斜の
まるでアスレチックのようなルートを
両手も木の枝や岩を掴んでよじ登っていく。

藪漕ぎのようにも見えるけれど
一応の道はしっかりとついていた。






五、六のコルへの分岐だろうか
ペンキでサインされた岩を横目に
ザレた急登を上がると…

奥又白池があらわれた。
こんなところに…

前穂高の東壁がすぐそこに、
思っていたよりも池は広く
もうすでに葉を落として雪を待つばかりの
晩秋の面影を漂わせている。
静かだ。


霞む富士山も望めた。


昔の(昭和の)ガイドブックには
この奥又白池もテント指定地として載っており
きっとキスリングの大学生や、クライマーで賑わっていたんだろう。
もちろん今もひっそりとここを訪れて
テント泊している人たちもいるけれど。



時折、落石の音が谷に響き渡る。
恐怖さえ感じるような
聞いたこともないような轟音が
この場所の現実を思い出させてくれる。


珈琲の味がとても沁みていった
いつにも増して美味しいデザートだった。


横尾をはさんで蝶のヒュッテも見えている。


一時間半ちかく池に居たけれど
他には誰も訪ねてこなかった。
名残惜しいけれど下りの方が注意力も必要だし
そろそろ腰を上げて下山の準備を。

また、いつの日か。




藪の脇はスッパリと切れ落ちていたりして
転げ落ちないように気を使いながらの下りは
もちろん写真を撮る余裕は…ない。
無事に本谷橋へと来れば徳澤はもうすぐ。
この橋も今年で架け替えだそうで
これで本当に渡り納めとなった。

ただいまー!
山戀しウォレットの最後の納品も兼ねて
徳澤ロッヂへご挨拶…いえ、お風呂をいただき
生ビールで『おつかれさまでした!』


無事に納品も済ませてひと心地ついたら
テン場へ戻り宴会を。
いつもながら a氏がご馳走をたくさん仕込んできてくれて
すっかりいただくばかりで恐縮だけど
今日のルートを振り返りながら
美味しいご飯と楽しいお酒で
気持ち良い一日の終わりを迎えた。



10/23 SUN
今日は帰るだけだけど
やっぱり早く目覚めてしまう山の朝。



大した雨にも降られず
テントも撤収して
徳澤ロッヂに挨拶をして上高地へ向かう。





多分、今シーズン最後のテント泊
寒さに震えることもなく穏やかな秋の終わり。
外国人観光客も戻ってきた河童橋の賑わいが
ことさら
昨日の奥又白池の静寂を思い出させた。
いい、山旅だった。
※ 尚、この奥又白池へのルートは
今後整備される予定はないそうなので
来年以降 行こうと思っている方は
徳沢でルートの情報を仕入れてから経験者との同行が望ましいと思われます。
このエリアでの遭難も多いとのことなので(徳沢ロッヂ支配人談)
初心者のみで入らないことを願います。
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( おわり )

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