立山・奥大日岳 2017 8/12~14 ⑤

このご利益で。
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ヒヨコくらいの大きさのヒナたちは6羽ほどいて
ちょろちょろチョコマカと楽しそうに歩き回っている。
雷鳥母さんは小さな声で「あんまり遠くへ行っちゃダメよ」
とでも言うように絶えず鳴き続けて
ここにいるからね、とヒナたちを見守っていた。

こんなに小さなヒナたちを見たのは
高校生の時の南アルプスの合宿の時以来かもしれない。
荒川岳付近で行く手行く手に現れる
小さなヒナたちを踏まないように歩いた記憶が蘇ってきた。
このところ山で見かけたヒナたちは
そこそこ成長していたので
なんだかとても嬉しかった。

どっしり構えた雷鳥母さん、素敵だ。

しばし雷鳥家族に癒されて極上の稜線を行くと
ほどなく富士の折立に。
大汝山でゆっくりしたので
ここはピークを巻いて真砂岳へと向かう。


剱岳もずいぶん近づいてきたね。


素晴らしいね…
二人してこの先に続く道にしばし見惚れて。




左手には室堂と奥大日と果てしない雲海
右手には豊かな雪渓。

白馬岳もあんなに近くに。

そして何より驚いたのは
人の少なさ。
室堂や雷鳥沢はあれだけ人で溢れ返っていたのに
しかもお盆休みなのに
立山の山頂も思っていたほど人はいなかったけれど
この極上の稜線を歩いている人がほとんどいないなんて。




ヨーコチャンの背中の「ショボちゃん」につけられた
立山でいただいた赤札につけられた鈴が歩くたびに揺れて
カランカランと乾いた音を稜線に響かせている。

この赤いアタックザックの 「ショボちゃん」 も
かなり使い込まれたヨーコチャンのお気に入りで
いつもかなりギューギューに物を詰められているので
そろそろ縫い目もほつれそうだとヨーコチャンは笑っている。
ヨーコチャンと初めて歩いた奥穂の時もその背中にいたショボちゃんは
私にとってもお馴染みさん。








素晴らしい縦走路。



真砂岳からはいよいよ白馬は近くに
この雲の上を歩いていけば
すぐに着いてしまいそうなくらいに。





早く別山について目の前の剱岳と対面もしたいけれど
この稜線があまりにも素晴らしくてちょっと休憩しましょうか。




とうとう剱岳は見えなくなって
結構きびしい登りとなってしまい
無言で黙々と別山の最後の登りを行く。



そして
もう、登りの道はないかなと思って顔を上げると
ヨーコチャンがバンザイをしているのが見えた。
あゝ、剱岳、待っていてくれたのだろうか。
( つづく )
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