東天狗 2016 11/26・27 ①

金曜日の終電。
待ち合わせ駅の改札を出て来たヨーコちゃんは
いつもの小顔にショートカットのイメージとは別人になって
肩から20センチはありそうなロングヘアーをなびかせていた。
ひーさーしーぶーりーーー!!
ふたりで抱き合わんばかりに手を取り合って
久しぶりの再会と一緒に山に行けることを喜びながら
タイチョーの運転する車の後ろの席にふたりでおさまり唐沢鉱泉へと向かう。


仕事をしながら資格を取るために
好きで好きでたまらない山を自ら絶って約一年。
髪も願掛けの意味も込めて伸ばしていたという。
「シマサーン、試験が終わった次の週は
ぜーったい山行きたいから空けといてね!」
と言われて早、いち年近く…
先週無事に試験は終わりようやくこの日を迎えるに至る。
黒百合ヒュッテでクロップを買いたい
というヨーコちゃんの要望で
黒百合ヒュッテ泊まりで天狗へ行こうか
という話に落ち着きそうだったけど
結局
温泉とごちそうに惹かれて唐沢鉱泉泊まりに決定。




初めて歩く唐沢鉱泉からの道。
宿のある場所の感じといい
橋を渡って山に入っていく感じといい渋の湯からの道にとてもよく似ている。
でもこちらには登山者用の無料駐車場もあるし
今回は唐沢鉱泉さんにお世話になるので
事前に朝から宿の駐車場に入れてもよいか尋ねると
どうぞお止めください、と快い返事をいただき
気持ちよく歩き出すことができる。


登りだしてしばらくして一瞬開けると
眼下には今日も雲海。
素晴らしいお天気が約束されているような朝に足取りも軽い。




木曜日に
11月としては観測史上初めて東京にも積雪という
この季節にしてはとても強い寒気が入ったおかげで
この辺も一気に雪景色。
降りたてでモフモフの新雪を
キュ、、ギュッ、、グッ、、と踏みしめてその感触を楽しみながら
まったく音のしない人のいない静かな森を進む。




渋の湯からの道と合流してまき道を進んでいくと
やっと登山道にも光がやって来た。



そしてあっさりと黒百合ヒュッテに到着。
蒼すぎる空と真っ白な雪が出迎えてくれた。


いつもなら
ここには人が溢れていて
休憩場所を探すのにも苦労するくらいなのに
本当に今日は静かだ。
そして今日はお昼ご飯も黒百合ヒュッテで食べるという
いつもの登山部からは考えられないくらいの贅沢で
下りてきたら何食べよーかな~、とメニューを見ながら品定め。
というわけで
今日はバーナーも持ってないし
行動食と防寒着くらいしかザックには入っていない。
やっぱりビーフシチュウ、かな。。


昨日の小さなお客さんは誰かな。



アイゼンをつけてさて、行こうか。




ああ、ズラっと並んでる。北アルプスが。





樹林帯を抜けるとさすがに風は強め。
岩場の雪は飛ばされて
12本のアイゼンではかえって危ないのでチェーンアイゼンに履き替えて。




降りたての新雪
トレースはあるものの
踏み込むと砂のようにサラサラと崩れて踏み抜いたりと
気を使いながら結構体力が奪われていく。



もう少し。
最後の急登登り切れば・・・

あー。来たー。
硫黄岳の爆裂火口から赤岳、阿弥陀の突起が目に飛び込んでくる。
さらに向こうには南の山並みが蒼いシルエットに。


中央も。




蓼科山の向こうには
ひときわ白い輝きに神々しい後立山連峰。
そしてその先火打妙高の
白い頂きの手前が雨飾山かな。


この4年ほど毎年ここへ来てるけれど
晴れていても強風すぎて諦めて
次の年はガスガス強風で途中撤退
そして去年はやっとこの山頂に立ったけど
北横岳方面がガスの間からチラリと見えただけという…
そして今年やっと360度全部見えた。
風は強いけど見たかった景色が目の前に広がっている。

この一年のヨーコちゃんの頑張りに
神様がご褒美をくれたような景色を目に焼き付けたら
新雪の登りで予想以上に体力も時間も使ったので
目の前にある西天狗は次回でもいいよね・・・
誰からともなく 3人でウンウン(笑)
じゃあお楽しみの黒百合ヒュッテ目指して
下山しましょうか。
( つづく )
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