焼岳 2016 10/30 ①

「焼岳はどう?」
仕事が急きょ休みになったので
この秋の始めの雨続きの週末を取り戻そうと
タイチローサンに打診してみると
提案してくれたのがこの山だった。
せっかくだからとカワミンチャンに声をかけ
3人で向かった中の湯の先の登山口の駐車スペースはほぼ満車。
今日はここに車を止めて上高地へ抜ける予定。
上高地側からしか歩いたことがなかったのでとても楽しみに来たのだけれど
山はまだ雲の布団をかぶったまま。
早く布団から出ておいで・・・


6時スタート。
登山道入口の標識はなかなか味わいある字。


朽ち果てた車が登山道に転がる不思議な図。
決して自然には帰らないけど
ここまで朽ちて苔や草に覆われていると
これはこれで「そういうモノ」として見えてきてあまり違和感を感じなかったりする。


今日も静かに雲海が広がっている。
日の出前の一番静かな時間は
下界ではまだ感じることのないくらい
鼻のあたまや頰が冷たくなって
指先の感覚が危うくなるくらいの
忘れかけていた空気の冷たさも嬉しかったりする。









比較的緩やかな道を
樹林帯を抜けて広場に出ると
青くて澄んだ高い秋の終わりの空と
違う世界が広がっていた。






ずっとずっと見える限りの向こうまで
雲海が山の襞を満たして埋め尽くす。


向かい側にどっしりと聳える霞沢岳。
あの山頂にもいつか立って
そこから穂高の屏風を眺めたい…と想い続けている。




雪がつく前の
おだやかな晩秋の陽射し。





北峰と南峰のコルに出ると
正賀池と名前のつく火口湖も見えた。





崩落の危険のある南峰は立ち入り禁止になっている。
コルから遥かに見える笠ヶ岳がとても綺麗だったり
振り返って登って来た道や雲海が素晴らしく素敵だけど
これから歩く道のすぐ脇には
火山ガスを噴出する噴火口もあるし
もしかしたら南峰へ行くよりこれから歩く道の方が
危険なんじゃないの・・・なんて思いもよぎるけど・・・

噴火口の下は素早く通過でしばらく行けば
もうそこは上高地からの道と合流する道。


さらに危険そうな噴火口とちょっとした岩場を越えると
あっさりと山頂についた。
まだ8時50分だった。





落葉松の熟した黄色に染まる上高地を眼下に
西穂へ続く尾根から大きなうねりとなって
奥穂、吊り尾根、前穂、明神が目の前に。
凄いな。。。




ほんの僅かの間に
笠ヶ岳には雲がかかってしまったけど
その笠雲はとてもスタイリッシュでかっこよかったなぁ。

強風ではないけれど
山頂を吹き抜ける風はかなり冷たい。
冷たいけどその風に吹かれながらこの景色の中にいたい。
そんな時間が流れる山頂。

まだ新雪もつかない山肌の色だけの北アルプスは
決してきらびやかではないけれど
静かにこの景色を目に焼き付けておきたい。
そんな風景の中、青空の下に佇むカワミンチャンと
穂高を独り占めにそこにいるタイチローサンは絵になりすぎていた。
( つづく )
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