白馬岳・雪倉岳・朝日岳 2016 9/23~25 ⑥

夕暮れは。
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北アルプスの北の果て。
朝日岳の肩に建つ赤い三角屋根の朝日小屋。



山小屋でありながら
陶器のお皿を使った心尽くしのもてなし料理の評判に
どんな小屋なのかとても来るのを楽しみにしていた場所。
受付に置かれた
おつかれさま、一粒どうぞの金平糖や
出迎えるネコたちにも小屋主の気の使い方がよくわかる。



予想していたよりもかなり早めに着いたので
部屋に荷物を置いたらとにもかくにも…

風もない、かんかん照りでもない、思っていたほど寒くもない
小屋前のベンチで過ごす時間は
その流れもゆるやかで
この穏やかな空気の中に居るだけで
ここまでの身体の疲れもほぐしてくれる。





今日白馬岳からここへ来た人は
昨日があんな天気だったこともあって
10人もいただろうか、というくらいだけど
北又からの直登ルートや五輪尾根、鉱山道などから
次々と人がやって来る。
ビールにチューハイ、バーボンそして
日本酒の銀盤になったところで夕食の時間。


お膳についている食前酒のワインで
今日の小屋泊まりの皆さんとカンパイ!
名物小屋番ゆかりさんの話を聞きながら
富山名物昆布締めのお刺身ににホタルイカの黒づくり、富山おでんに…
もちろん米どころのコシヒカリもそれは美味しかったけれど
日本酒にはたまらない肴に
ごちそうさまの頃には銀盤もすっかり空に。



ごちそうさまでした。


ほろ酔いで外に出てみれば夕暮れの時間。
山の中で日の出と夕暮れを見られることは
いつも一泊の山ではほとんどないこと。
しかも山の上から
日本海に沈んで行く夕日を見るのは初めてかな。


ゆうぐれは
くものはたてに
ものぞおもふ・・・


あそこから歩いて来たんだ。
今朝あの稜線から
朝焼けに染まる雲の向こうに遥かな朝日岳を見ていた。
そして今ここから
夕暮れに染まる雲の下の白馬岳を見ている。
これ以上なにを望もう。





9月25日 (日)
雲が流れる空の上は晴れている。



5時朝食。
小屋は10/9の体育の前の日までの営業ということで
あと半月ほどでシーズンが終わるという。
短い短いこの山の季節。
こんないい時期に来られたことを感謝せずにはいられない。


去年までのお弁当に代わって売り出している笹の葉寿司を
行動食用に買って
この居心地の良かった朝日小屋を後にする。





朝、玄関に並べられたお風呂用の椅子は
登山靴を履くのにどうぞ、という
こんな心配りが嬉しくてもちろん使わせていただいた。


外へ出れば日の出の頃。
明けていく空に
それでもまだ離れがたくて
山肌に纏わりつく雲の流れが
秋の朝の余韻のようで
またこんなに綺麗で印象的な朝を
山の上で迎えられたことを感謝せずにはいられない。





新しい朝。
今日はどんな一日になるのだろう。
どんな道が、どんな景色が待っているのだろう。
( つづく )
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