白馬岳・雪倉岳・朝日岳 2016 9/23~25 ③

輝く朝。
・
・
・
白馬山荘。
収容人員800人の日本最大規模の山小屋。
…のスカイプラザで飲むビールを楽しみに
何も景色見えない中ここまで歩いてきた、と言っても過言ではない。


普段は人でごった返すというここも
このお天気に加えて大雪渓の通行止めが続いていることもあって
信じられないくらい人がいない…ということだった。
この広い雲上のレストランに10人もいない。
もちろん外の景色も真っ白なのだけど。


ご褒美のソーセージセットに持参のおつまみを広げて
今日のここまでの行程を振り返りつつ
お燗してもらった白馬錦のあまりの美味しさに
ついつい顔も心も緩んでいく。



ケーキセットはまた次回のお楽しみに。


広い食堂に夕食の用意がされる。
混雑時はここに行列、何回転もするそうだけど
今日は全員分でもこの食堂の一画だけで足りてしまう…
人数にして30人も居るだろうか。


食事をいただきながら
どちらからですか?なんて交わされる会話も小屋ならでは。
栂池から上がってきたお隣の方たちは、これが楽しみで、と
瓶のワインを担ぎ上げてきていて、どうぞ…とご相伴に預かり
もちろん美味しくいただきます。
・
・
・
そして部屋に戻ってまた一献。
明日のコースを確認しながらゆっくり流れる時間。
たまにしかない小屋ライフも
こんなふうに寛げればもう、言うことはない。

ここちよい酔いと疲れ。
おつかれさまでした。おやすみなさい。
・
・
・
9月24日(土)
3時半起床。
ロングコースになるので4時半の出発をめざして準備する。
昨日のうちにお弁当も受け取って
珍しく朝ご飯を食べすに動き出すので
少しだけ緊張の朝。



よし、時間どおり。
ガスに包まれた山荘の外。
少しだけ昨日より暖かい風が吹く中を
ヘッドランプの灯りを頼りに歩きだす。




誰もいない山頂に着く頃には
頭の上を覆っていたガスは風に流されて
振り返ると
優しい光で照らしてくれるお月様と
夏の大三角形が夜の終わりの空に浮かんでいた。




明けてくる空の下には
真綿のようなみごとな雲海が敷き詰められていた。
昨日は見られなかったものが、全部そこにあった。


言葉をうしなって
ただただそこに立っているだけ。
もう眩しさは感じない秋の朝の光は
私自身もこの山の一部に染めて
今まで見たこともない紅い光で
山にも岩にも草にも私にも等しく穏やかに降り注いでくれた。



それは冬が来る前の一瞬の輝きのような
美しいけれど哀しささえ感じるような光。

そして
陽がのぼったあとは
これから行く雪倉岳から朝日岳、そして遥か富山方面が
優しい朱鷺色に染まる。

本当に
ごくたまにでも
こんな朝に出逢えるから、
どんなにつらい思いをしても
きっとまた山に来てしまうんだろう。
他に誰もいない稜線で
移り変わる空の色を眺めて
それを静かに心にしまってまた歩き出す。




そして三国峠
あちらがわへ。

( つづく )
- 関連記事