平標山 2016 6/5 ②

分け入っても分け入っても青い山
去年この山頂へ来て
心を惹かれたのは仙ノ倉山へ続く道よりも
実はこの平標新道だった。


なだらかに続く谷の美しさ。
見える限りの笹原の中を続いていく一本道。
山頭火の上の句が頭に浮かび
それはずっと片隅から離れないでいた。
いつか歩きたい・・・という思いが。
幸いまだ時間は9時を過ぎたあたり。
いいねえ…。
…いいよねえ。
多分Kちゃんも同じ思いで眺めている。
池塘まで行ってみる?
うん、行こう!
こうして私たちは平標新道に足を踏み出した。

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普段歩く山で
予定外の行動をすることはまずない。
それはもちろんリスクが高いから。
それでも行きたい、行ける、と思ったのは
相手がKちゃんだったからだ。
この行動を起こすことに多少なりとも危険が伴うことは
Kちゃんも分かった上だし、
本当の山の怖さをちゃんと分かっているKちゃんだから
私も安心して、行こう!と言えたのだと思っている。
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あまり歩かれていないとみえて
枯れた笹の葉が積もった急坂のその道は
歩きにくいことこの上ない。
滑り落ちないように笹や木の枝をつかみながら
ふたりでキャーキャー言いながら下りていく。

急な傾斜もひと段落して振り返ると
平標から仙ノ倉へのなだらかな稜線が繋がっていた。
そして山頂から眺めただけでは分からなかったけれど
小さな池塘もたくさんあって
(残念ながら半分くらいは水が干上がっていたけれど)
チングルマやタテヤマリンドウ、ハクサンコザクラ
水辺にはワタスゲも揺れている。








いいところだね~、と思わず口から出る言葉。
池塘もお花も素敵だけど
何より素敵だったのは
ここから改めて見る平標から仙ノ倉への曲線だった。
寝そべって少し上体を起こした
女性の綺麗な背中のラインのような。
なんでこんなステキなところなのに
誰もこないんだろう。。。
まあ、そのおかげでふたりで独り占めなんだけど。


・
・
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名残惜しいけれど
もう一度登り返して平標の山頂へ。



そして踏み出す花園へ、いざ♪









今日は日曜日。
なのに空いている。
昨日土曜日の方が
天気予報がかなり良かったためか
思った以上に人が少なくて
花もゆっくり見られるし
なんとベンチも空いている。

ちょっと早めだけどお昼にしようか。
コロッケとメンチカツ買ってきてね!
というKちゃんの指令を受けて買ってきたそれを挟んで
キャベツたっぷりのホットサンドが今日のお昼ごはん。


・・・んまい!・・・おいひい!

しかも
デザートにアップルパイまで焼いてきてくれているし・・♥
以前リクエストを受けていた
あんみつと一緒に心ゆくまで味わって。


デザートを食べて珈琲も飲んで
少し冷たいくらいの乾いた風を受けて
流れる雲でころころと表情を変える空を見上げていたら
なんだかもう
今日はここで終わりでもいっか・・・・
二人とも同じようなことを考えていたらしい。

Kちゃんは慣らすために履いてきた
縦走用の新しい重い靴を脱いで足を伸ばしている。
私もほかに人がいないのをいいことに
ベンチに寝ころがってみる。

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・
そして
仙ノ倉山へ行かないことに決めた。
歩きたかった平標新道に足を踏み入れたことで
そして
予想以上に青空が素敵だったことで
もう満たされてしまったのかもしれない。

でも、お花はもう少しだけ見ていこう・・・













なんて自由なんだろう。
解き放たれていた。すべてが。
( つづく )
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