扇山~百蔵山 ② 2016 5/5

乾いた5月の風が
尾根を駆け抜ける。
若葉を裏返しながら
颯爽と潔く。
どこまでも尾根を吹き渡り
手を伸ばせばそのままどこかへ
連れて行ってもらえるのでは
ないかと思ってしまうくらいの
そんな5月の風。



大久保山をひと通り下ると
タワのような雰囲気の良い
歩きやすい道が続き
風や緑の匂いをいっぱいに吸い込んで歩く。






百蔵山のとんがった山頂も
木の間に見え隠れしながら
最後の登りはさすがにキツくて無口になる。





古い分岐が現れると
百蔵山の山頂はすぐだった。
あー、まだ富士山見えてるね♪
やっぱり無条件に富士山が見えるとうれしい。
しかもGWの寒気のおかげで
3月頃よりもしっかり雪がついて白く輝いているのだから。


さっそく富士山も見える場所に陣取って
お昼ごはんの用意。
今日はすき焼きよ~!
ケーさんはおもむろにザックから
すき焼き用の鍋を取り出し
浅草の松喜まで買いに行ってくれた高級牛肉を取り出し
パックに入れてきた生卵を取り出し
ていねいに下ごしらえした野菜を取り出し
お箸やお椀や何もかも用意してきてくれていた・・・
うう、こんなに担いできてくれてたのね。
(足が攣らないでよかった・・・)

何かお手伝いを、と言っても
いいからいいから、と言われて私は隣で見てるだけ。
その様子を見たaさんが、私に向かって
「今までで初めて見る、そんなニヤニヤした顔…」
えっと、
あの、
そりゃそうでしょ、
こんな美味しいもの作ってもらえるなんて
そうそうあることじゃないんだから。
それにこれを担いできてくれた労力を考えたら。
それにしても、ニヤニヤって…
引っかかる言い方だなぁ、、、いつもだけど。
嬉しそうな、とか、楽しそうな、とか、幸せそうな、とか他に
いくらでも言い方ってモノがありそうなもんだけど…
と思ったけどそれは言うのは止めて…
だってうれしいし楽しいから。
そういうaさんとて
(aさんファンに見せてあげたいくらい)
満面の笑みですき焼き作ってくれてたりするんだけど。。。


そしてすき焼きは出来上がり
〆の肉うどんまで作ってくれて
しっかり完食させていただきました。

すると
今度は私の背後でゴソゴソしていたaさんが出してきたものは…

ヤラレタ。。。
日帰りなのに縦走用ザックを担いでいたワケ
休憩でもザックを下ろさず休憩していたワケ
ホールの誕生日ケーキを
そのまま大きな保冷バッグに保冷剤とともに
担ぎ上げてくれていたからだった。
「一応気を遣ってロウソクは22本で。」
うん、どこまでも気がきいてるじゃないの。笑

山頂で二人にハッピーバースデー🎶と
歌まで歌ってもらい、
美味しい珈琲も入れてもらい
私の場合ビックリすると涙を出すのを忘れてしまうようで
あまり感激してるように見えなかったかもしれないけど
本当に嬉しかったんです。
ホールケーキの3分の1をペロリと完食♪

ありがとう、ごちそうさま。
・・・ううう
心の中でむせび泣きながら
どうしよう、ふたりの誕生日。。。笑

ずっとずっと霞もせずに
富士山が見えている山頂を後に
さあ緑の中を下山しましょうか。
湯立人鉱泉めざして。










緑の森は終わり
一般に公開していない和田美術館を過ぎると車道歩き。
いつもザックに入れている折りたたみ傘を日傘の代わりに歩いていく。







おとなりの岩殿山や大渋滞の中央道など眺めながら。
駅への分岐とは反対方向へ歩いていると
地元の人が心配して声をかけてくれた。
「湯立人(ゆたんど)温泉に…」と言おうとして
「湯立人(ゆたんど)お風呂に…」と答えてしまったケーさんに、
ああ、じゃあここをまっすぐで…と優しく教えてくださった。


営業中、とだけ札がかかった普通の家。
声をかけると
日本昔話に出てきそうな可愛らしいおばあちゃんが
どうぞどうぞと案内してくれた。
さらりとろりとした貸切りのお湯に浸かり
さらに頭の中は空っぽになっていく。



お湯から出てくると
お茶とお茶うけの筍の煮物が用意されていた。
田舎の親戚の家の広間のような休憩室。
開け放した窓から入ってくる風も
縁側から見える庭の緑も気持ちよくて。
帰りたくないね~と言いながら重い腰を上げて駅へ向かう。



猿橋駅で電車を待ちながら
傾く夕陽に照らされながら今日を振り返る。
でも今日はまだ終わりではなくて高尾で途中下車、もちろん「あさかわ」へ。

あさかわでの顛末でひとつ話が書けそうなくらいだったけど、
ここでも2人が歌ってくれた「ハッピーバースデー♪」はしっかり録画させてもらい^^
それを見ていた常連さんからは熱燗の差し入れをいただいたり。。。
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楽しくてあったかい一日を
今日もありがとう。
( おわり )
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