山頂デザートな日々

白馬岳・雪倉岳・朝日岳  2016 9/23~25 ⑨

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エピローグ。・・・木道の終わりが近づいてくる。そこが終わってしまえばあとは樹林帯の下りとなって沢まで下りきってしまうと、そこからさらには蓮華温泉まで300メートルの登り返しが待つというなかなか厳しい道が。それをわかって最後の色彩を愛おしむように何度もなんども、なんどもなんども振り返る。AM 11 : 30森の中からいきなり開けてそこが白高地沢の出合いだった。照りつける日差しが強くて沢の流れは清冽だった。橋を渡...

白馬岳・雪倉岳・朝日岳  2016 9/23~25 ⑧

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山にいる喜びを。・・・いい景色だったところは必ず振り返らないとね…と誰かが言っていた。そのためにあるようなベンチに腰掛けて朝日岳からの歩いてきた道も青く広がってきた空も雪倉岳から清水岳への奥行きを見せる山並みも黄色や紅に染まり始めた山肌もどこを見てもため息しか出ないような秋の山の中にいる喜び。こんなに素敵な道なのに誰も歩く人のいない貸切の山を歩けるしあわせ。相変わらず10歩歩いては立ち止まり振り返り...

白馬岳・雪倉岳・朝日岳  2016 9/23~25 ⑦

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彩りにまみれて。・・・AM 5 : 45朝日小屋をあとにする。昨日よりも気のせいか紅さを増した稚児車が敷き詰められた道を朝日岳を目指して進む。紅く染まる朝日平。さようなら朝日小屋。富山平野と日本海がすぐそこにあった。山頂付近にだけかかる雲の中へ入っていく。山頂に着く頃に奇跡のようにこの雲が晴れる・・・そんなことを本気で信じながら歩く。AM 6 : 55もう少しで太陽が見えそうなガスが流れる朝日岳の山頂へ。一瞬山頂を...

白馬岳・雪倉岳・朝日岳  2016 9/23~25 ⑥

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夕暮れは。・・・北アルプスの北の果て。朝日岳の肩に建つ赤い三角屋根の朝日小屋。山小屋でありながら陶器のお皿を使った心尽くしのもてなし料理の評判にどんな小屋なのかとても来るのを楽しみにしていた場所。受付に置かれたおつかれさま、一粒どうぞの金平糖や出迎えるネコたちにも小屋主の気の使い方がよくわかる。予想していたよりもかなり早めに着いたので部屋に荷物を置いたらとにもかくにも…風もない、かんかん照りでもな...

白馬岳・雪倉岳・朝日岳  2016 9/23~25 ⑤

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山旅の途中。・・・雪倉岳は思っていた通りの素敵な山頂だった。白馬岳から小蓮華山、白馬大池までのなだらかな稜線三国峠から歩いてきた道遥かに見える剣岳や立山目を凝らすと白馬大池まで見えて風もなくて薄曇りの秋の山頂でいつまでもいつまでもこの眺めを見ていたい、そんな山頂だった。そしてこの先に目をやるとセットの場面を転換するように朝日岳の大きくて丸っこい今まで歩いてきた道とはまったく違った雰囲気の景色が広が...

白馬岳・雪倉岳・朝日岳  2016 9/23~25 ④

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その先へ。今日はこの道に一歩を踏み出せる。その嬉しさとどんな道のりなのかという期待となんとも言えないごちゃ混ぜの気持ちで分岐の先に足を進める。こちら側から見る雪倉岳は山頂からなだらかな両肩をおろしてまるでそれが倉の字の部首の「ひとやね」みたいで伸びやかな左払いと右払いの交わる山頂はどんな景色なんだろうとついつい足の進みも早くなってしまう。正面に雪倉岳を望みながら左手には白馬は陰になって見えないもの...

白馬岳・雪倉岳・朝日岳  2016 9/23~25 ③

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輝く朝。・・・白馬山荘。収容人員800人の日本最大規模の山小屋。…のスカイプラザで飲むビールを楽しみに何も景色見えない中ここまで歩いてきた、と言っても過言ではない。普段は人でごった返すというここもこのお天気に加えて大雪渓の通行止めが続いていることもあって信じられないくらい人がいない…ということだった。この広い雲上のレストランに10人もいない。もちろん外の景色も真っ白なのだけど。ご褒美のソーセージセットに...

白馬岳・雪倉岳・朝日岳  2016 9/23~25 ②

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白い世界。・・・AM 10:15ひと月前チングルマの果穂が揺れていた大池は今度は葉が紅く色づいてまた違った風景を見せていた。もう紅というよりバーガンディに近い深い色に。もうひとつひと月前と違うのは…誰もいない。テン場も道も。今日は平日。しかもこんなお天気。それでも白馬大池山荘の食堂は栂池から来た人、白馬岳から下ってきた人、そして蓮華温泉から上がってきた人が交差して雨宿りしながら暖かい食事をとったりしてその...

白馬岳・雪倉岳・朝日岳  2016 9/23~25 ①

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雨に唄えば。・・・去年の今頃私はどこにいただろう。去年の今頃そうだ私は聖岳にいた。南アルプスの南部は9月の下旬といってもまだ夏の続きのようで青青とした緑の山は紅葉なんていつになったらするのだろう…そんな印象でこのところは紅や黄色に彩られた山をそんな色の氾濫に塗れながら歩いた記憶があまりなかった。秋分の日秋のお彼岸まとまった休みが取れたので今年は北にいってみようか。それも北の果てまで。2年前ガスで道を...